お正月まであと数日ですね。
お正月といえば、おせちにお雑煮。
伝統食を食さなくなったと言われて久しい現代ですが、お正月のお雑煮については、なんと90%を超える人が「毎年食べる」と言う、今も生活に根付く伝統食なのです。
今回は、そのお正月のお雑煮について、知っているとちょっと役立つ豆知識をまとめていきたいと思います。
そもそも、お雑煮とはどうして食べるようになったの?
そもそもは室町時代の武家社会から始まった祝膳の習わしで、武家の宴会の最初に出されるものとされていたようです。
その後、江戸時代ころまではお正月に限定されたものではなく、祝膳全般で食されました。
当時はお餅の原料であった米が高価だったことから、お餅の代わりに里芋で代用したこともあったそうです。
そして、一番初めに食べると縁起が良いという意味が元旦に食べる理由になっていきました。
現代では、新年という新しい年神様をお迎えするとともにお餅やその他の産物をお供えし、その神様へのお供え物をお下がりとして、旧年の感謝とともに、新年の豊作や家内安全を祈るのが一般的な解釈とされています。
呼ばれ方にも、変化があります。
武家社会では最初、雑煮を「烹雑(ほうぞう)」と呼びました。
烹は「煮る」という意味のため、餅や野菜、肉など雑多なものを煮るため「煮雑(にぞう)」となり、その後反転され「雑煮」と呼ばれるようになりました。
各地で違うお雑煮
「お雑煮」と一言で言っても、その味も内容の各地で違います。
大きく違うのはお餅の形や味付け。
東日本は角餅、西日本は丸餅です。
この由来にはいくつか説があるようですが、江戸は人が多く、一つずつ丸めるよりも手っ取り早く数も作れる角餅が、関西では「円満」を意味する丸餅が普及したという説があります。
また、日本のほぼ真ん中で文化が分かれているのは、岐阜県関ケ原あたりを境にしていることから、関ヶ原の合戦の影響とも言われます。
香川県などを中心に四国ではあんこ餅を使用する地区もあるそうです。
味付けは、全国的に圧倒的にすまし汁の地域が多いですが、近畿地方は味噌仕立て、出雲地方や能登半島などでは小豆(あずき)汁など、地域による違いがあります。
練馬のお雑煮は野菜をたっぷり使用
練馬区はいわゆる関東風の味付けで、餅は角餅を焼いて入れることが多く、味付けは、昆布かつおだしに醤油とみりんが多いようです。
同じすまし汁でもみりんを使用するのは東日本ならではで、まろやかな風味になります。
具には地元野菜の大根や小松菜などが使用されます。農村地帯だった練馬区はやはり野菜をたっぷり使用したものが多いとの記述もありました。
お雑煮レシピ(関東風)
関東風の昆布かつおだしを使用したシンプルなレシピを紹介します。
材料(4人分) 昆布かつおだし汁:800cc 角餅:8個 鶏もも肉:200g 大根:100g 人参:50g 小松菜:2株 A醤油:大さじ2 Aみりん:大さじ2 |
作り方
1)大根、人参はいちょう切り、小松菜は3㎝に切る。鶏もも肉は一口大に切る。
2)鍋に出汁と鶏もも肉を入れ、煮立てる。アクが出てきたらすくい取り、大根、人参、Aを入れ火が通るまで煮る。
3)餅をトースターなどで軽く焼き目がつくまで焼く。
4)鍋に小松菜を入れ、さっと火を通す。
5)椀に3)の餅を入れ、4)のお汁を入れて完成。
いかがでしたでしょうか?
お雑煮はご家庭で作ることが70%を超えるとも言われ、伝統食であるとともに家庭の味でもあります。
練馬には地方出身者も多く住んでいるため、一般的な東京風雑煮と言っても、各家庭で異なります。
筆者は西日本・瀬戸内地域の出身のため、お出汁は海鮮(牡蠣など)で出汁をとったすまし汁に醤油を使用し、焼かない丸餅を入れるのがお雑煮だと思っていました。
本州からの開拓者の多い北海道などは、地域性はなく、その家庭の三世代前の方がどこの出身だったかによって味や餅の形が違うようです。
「我が家のお雑煮」について、自らのルーツをお話ししながら元旦の朝に食べるのも一年の始まりに素敵な年の始まりかもしれませんね。